兵庫県の尼崎市に、福知山線の支線として塚口駅から尼崎港駅まで走っていたのが通称尼崎港線である。ほとんど貨物列車のためにあるようなローカル線で、旅客列車は1日2往復しか走らない。日本全国の国鉄(現在JR)に完全乗車しようと思うと、まずこういった路線にどの時間に乗るかを考えなければならない。完乗を目指さないなら、恐らく人生で1ミリたりともかすることのない路線である。
尼崎港駅は有人駅で、切符売り場が存在した。早速、記念に入場券を求めようとすると、ないという。仕方ないので乗車券を買ったら、写真のようなモノだった。手・書・き・?
常備券を用意するまでもないのは理解できる。それはいいとして、「尼崎港駅発行」という部分は印刷されているのだから、せめて発駅部分にも「尼崎港駅」と印刷してほしかった。しかし、尼崎港駅では、塚口駅発や尼崎駅発の乗車券を販売するケースのほうが多いのだろう。だから、発駅部分さえも手書きにする。恐らく、これが一番合理的なのだ。
まあいい。切符の一部分にでもちゃんと「尼崎港駅発行」と印刷されているのだから満足だ。
結局、尼崎港線は乗車した約2年半後に旅客営業が廃止されたが、それまで運行していたことのほうが驚きであった。(令和元年9月22日)