安中榛名駅は北陸新幹線の「あさま号」のみが1日12本程度停車する小さな駅で、利用客数は1日300人(JR発表による平成30年度の乗車人員。参考として軽井沢駅は4013人、飯山駅は567人)の閑散駅だ。駅を降りてもコンビニすらなく、タクシーも客待ちしていることは少ない。磯部駅か安中駅(ともに信越本線)に行くバスはあるけれど、これまた本数が少ない(磯部駅行きは平日10往復(土・日・祝日は7往復)、安中駅行きは平日3往復(土・日・祝日は運休))。近くのゴルフ場に行く人の送迎や、駅の南側を中心に開発されたびゅうベルジェ安中榛名という約600区画の定住型ニュータウンに住む人たちを中心とした通勤・通学で利用される程度の駅だ。駅前駐車場は最高7日間駐車することができて、無料。駅前ロータリーがある側とは反対の北側にも広い駐車場があるが、夏祭りの時くらいしか使われていない。ちなみに、駅の真ん前にある駐車スペースの駐車マナーは悪く、本来停車してはいけない場所への長時間駐車が常態化しているが、ほとんど迷惑がかかる人すらいないのが実態である。
そんな超マイナーな安中榛名駅のすぐ近くにある交差点に群馬県初のラウンドアバウトが、社会実験とはいえできるのだから、これはニュースである。駅への送迎のついでなどに、工事の模様を撮影するようになった。
平成30年夏に設置された看板を見ると、請負金額は19,224,000円(税込)で、工事期間は翌年3月15日までとある。
まずはカラーコーンなどが置かれ、全体像が何となくわかるようになった。まだ信号によって交通整理を行っている。
この時の印象は、ただ単に道幅が狭くなっただけ。使えなくなった車線が生まれたからだ。大型車を運転している人は、よりそれを感じるようになったのではないか。
そして、1ヶ月ほど経ってから見に行ってみると……。簡易的ではあるが中央に島ができ、信号には幌が掛けられ、道路には進行ルートの矢印が描かれた。
軽井沢市にあるラウンドアバウトと異なるのは、交差点に入る前に止まる必要がないことだ。それゆえ、交差点の進入口には「止まれ」ではなく、「ゆずれ」と書いてある。進入時、右から車両などが来ていたらその車両などを先に行かせ、安全を確認してから進めばいいのだ。見通しがいいから止まらなくても(徐行で)安全確認できるということだろう。
社会実験としてのラウンドアバウトが開始され、車両などは信号で止まらなくて良くなったので、ちょっと便利になった。翌年3月までの暫定的な措置ということだったが、恐らく恒久化されるだろうと思った。実験結果がどうであろうと、再び信号のある「安中榛名駅入口」交差点に戻す根拠があまりないと感じたからだ。社会実験としての簡易的なラウンドアバウトのままでも十分だろう。
※撮影は道路交通法を遵守し、安全に配慮し、倫理観に則って行っています
「安中榛名駅前! 群馬県初のラウンドアバウトが常設化されるまで−3」(令和2年4月4日予定。全3回)に続く。(令和2年3月28日)
こちらでは動画で紹介しています