近所にコンビニより小さく八百屋に近いが総菜なども扱っているミニスーパーがある。働いているのは異国人で、言葉は通じるが片言よりは少しマシな程度だ。店の前の歩道近くにまで安い野菜や果物が並べられていて、その店の前を通るとどうしても商品が目に入ってしまう。
店構えに特徴はなく、お金をかけた形跡もない。店内も普通に商品が置いてあるだけだし、見たことも聞いたこともない商品や総菜が並んでいたりする。
入口は狭く入りにくい。現金のみ。レジ袋は2円。勝手な思い込みだが、怪しさ満点の店なのだ。
ところが。
これが安いのだ。旬の野菜が、たまに行くスーパーより3割程度安い。たまに値付けがおかしいのではないかというような高い果物もあるけれど、総じて安い。
ここで思う。安かろう悪かろうなのではないか、と。
清掃が行き届いた大型スーパーの明るい店内に整然と並べられ、商品説明のポップもある無駄に包装された野菜のほうがどう見ても美味そうに見える。3割増しだが。
どのような食品に関しても、多くの農薬や保存料や着色料が使われていることだろう。昔と違ってパンにカビが生えないし、見た目がそそる食べ物のほうが食欲も湧くというものだし、野菜には虫が喰った跡すらないし、大量に安定した生産をするためには農薬は欠かせない。
それゆえに、安ければ良いということはない。高くても農薬まみれかもしれない。できることは、少しでも異物を排除するために人工的なものが使われていない食品を少しでも多く摂って人工的なものではない食品の比率を上げることで、人工的なものの濃度を下げることくらいだろう。自らの糞尿や野菜くずなどを肥料にして自家生産できればもっといい。
さて、ではそのミニスーパーの品質はどうなのだろう。きぬさやとブロッコリーとホウレン草とトマトを買ってみた。1,000円札を出すとお釣りに1円玉を返されるのがちょいと鬱陶しい。
あまり期待していなかったが、購入した野菜は全てちゃんとその野菜特有の味がした。大型スーパーの野菜より美味かった。
見た目で勝手に怪しいだの安かろう悪かろうだのと判断したのは間違っていた。先入観にとらわれるべきではなかった。
安くて美味い野菜を売っている店がある。初めからそう考えれば良かったのだ。
デブチビハゲと3拍子揃っていても性格が良く友達が多く親しみやすくて優しい男もいるから、変な先入観を持つのは損である(そんな結論かーい)。(令和3年4月25日)